年度「2023年度シラバス」、フォルダ「2023年度シラバス - 車道校舎 - 専門職大学院(法務研究科)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名   刑法Ⅲ  
担当教員   岩間 康夫  
対象学年     クラス      
講義室   K902教室   開講学期   秋学期  
曜日・時限   木3   単位区分   必  
科目種別   講義   単位数  
準備事項    
備考    
テーマ Theme  刑法各論の基本的理解と問題解決能力の養成  
概要 Synopsis  刑法各論は各犯罪類型の解釈を通じてその成立要件を明らかにする学問分野である。受講者諸君には,それらの基本的理解を前提として,さらに単なる抽象論の世界で思索するにとどまらず、現実の事案を読み解いていかなる犯罪が成立しうるのかを判断する能力が実務家の卵として最終的には求められることになる。この授業では、前者の基礎固めを主眼とするが,遠い目標としては,自己完結的な理屈をこねる能力よりも、むしろ具体的事案に妥当な解決を与える能力の養成をも意識したい。  
到達目標 Aim  刑法典第2編に規定される犯罪のうち主要なものの成立要件や論点を,判例の見解を常に視野に置きつつ理解することができる。  
授業形態 Class style  教員からの一方的な説明に終始しないよう,適宜受講者へ質問することにより理解度を確認し,さらには受講者間での議論も可能な限り採り入れ,双方向性・多方向性を志向する。  
使用言語 Language(s) 日本語のみ Japanese only
アクティブ・ラーニングActive Learning  PBL(課題解決型学習) Project-based learning
ディスカッション、ディベート Discussion , Debate
プレゼンテーション Presentation
内容・スケジュール Contents, schedule  なお,以下の内容はいわゆる「コアカリキュラム」で示された授業項目に準拠するものであり,同「カリキュラム」との対照表を初回の授業時までに配布するか,その他の方法により両者の関係を受講者に予め周知させることとする。
 また,第15回までに予定の項目を説明し切れなかった場合,期末試験開始前のできるだけ早期の時点で補講を実施することにつき,予めご承知おき願いたい。

第1回 刑法各論の総説(犯罪の分類等),殺人罪,暴行罪,傷害罪
第2回 同時傷害の特例,過失致死傷罪,遺棄罪
第3回 逮捕監禁罪,脅迫罪,強要罪,略取誘拐罪,強制わいせつ・強制性交等罪,住居侵入罪
第4回 名誉毀損罪,信用毀損罪,業務妨害罪
第5回 財産罪総説(1)…財産罪の分類,財物・財産上の利益,財物領得罪の保護法益
第6回 財産罪総説(2)…不法領得の意思,占有。さらに窃盗罪,親族相盗例
第7回 強盗罪,事後強盗罪
第8回 昏酔強盗罪,強盗致死傷罪,強盗・強制性交等罪
第9回 詐欺罪,恐喝罪
第10回 横領罪,背任罪
第11回 盗品等に関する罪,毀棄罪
第12回 放火罪
第13回 文書偽造罪
第14回 公務執行妨害罪,犯人隠避・証拠隠滅罪
第15回 賄賂罪
 
準備学習・事後学習 Preparation, review <準備学習>
 毎回,教科書・参考書類,及び補助教材や指定判例を熟読して用意の上,授業に臨むこと(想定時間90分)。
<事後学習>
 授業で展開された内容を踏まえて,教員配布の授業資料や市販の教科書・判例集類の精読を通じ,知識の定着を図ること(想定時間90分)。  
準備学習・事後学習の時間 その他(「準備学習・事後学習」欄に記載)
学外授業 Outside activities  実施しない。  
成績評価の方法と基準 Evaluation&criteria  期末試験の点数のみによって評価する(100%)。なお,理由の如何を問わず,授業に6回以上欠席した場合には期末試験受験資格を失うことになるので(病気等の正当事由によらない欠席が4回以上の場合も同様),注意されたい(詳しくは,「2023年度法科大学院ガイドブック」p.49参照)。その際,授業開始20分経過後以降の教室入室(オンライン授業の場合はzoomのミーティングルーム参加)は欠席とみなし(交通機関の遅延,ネット接続上のトラブル等やむをえぬ場合は,証明書類もしくは証拠資料の提出を求める),授業終了時15分前以前の究極的退室も欠席扱いとする。体調不良による場合を除き,頻繁な教室の入退室や長時間の中座も欠席とみなす場合があるので,注意されたい。また,オンライン授業の場合,授業開始後は「ビデオ接続」を常時オンにして,各自の顔が画面に映し出されるようにすることにより出席と評価する。
 刑法各論(各犯罪の個別的成立要件やそれをめぐる論点)に関する基礎知識(判例を含む)をしっかり習得し,さらに刑法総論に関する知識と実質的に結合させた形で,比較的長文の事例処理に応用することができるか否かを採点の指針とする。  
定期試験期間中の試験実施方法 Exam period 定期試験期間中に筆記試験を実施する。An exam will be held during the exam period.
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法  提出された答案やレポートは添削の上,返却する。  
テキスト Textbooks  教員作成による授業資料(Moodle上で配布する)に即して講述し,一般の教科書類は用いない。  
参考図書 References  以下の書籍については,いずれも毎年4月前後を中心に改訂版・新版が発売されることがあるので,以下の表記にとらわれず,常に最新版を入手するよう心がけること。
井田良『講義刑法学・各論[第2版]』(有斐閣 2020年)
西田典之(橋爪隆補訂)『刑法各論第七版』(弘文堂 2018年)
山口厚『刑法各論[第2版]』(有斐閣 2010年)
中森喜彦『刑法各論〔第4版〕』(有斐閣 2015年)
佐久間修『刑法各論[第2版]』(成文堂 2012年)
前田雅英『刑法各論講義[第7版]』(東京大学出版会 2020年)
林幹人『刑法各論[第2版]』(東京大学出版会 2007年)
高橋則夫『刑法各論第4版』(成文堂 2022年)
佐伯=橋爪編『刑法判例百選Ⅱ各論[第8版]』(有斐閣 2020年)
西田=山口=佐伯編『判例刑法各論第7版』(有斐閣 2018年)
岩間=塩見=小田=橋田=髙山=安田=齋藤=小島『ケースブック刑法 第3版』(有斐閣 2017年)  
リンク Link ①https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html(厚生労働省)
②http://www.tottori-u.ac.jp/secure/18047/hokekan-QA.pdf(鳥取大学)
③https://www.tokoha-u.ac.jp/info/230310/(常葉大学)  
Moodleへのリンク Moodle URL https://lms.aichi-u.ac.jp  
関連する科目、履修者への要望など Requests, etc 【上記の授業実施形態に関する補足】
 愛知大学活動制限指針「レベル1」,さらには「レベル2」の状況下においても,法科大学院では原則として対面授業を実施することとなっている。ところが,その際,教員も「常時マスク着用」が義務づけられてきたところ,担当教員(岩間)は,2020年9月,法科大学院入試B日程,及び2022年6月の同A日程の試験監督中(当然マスク継続的着用状態下),呼吸困難・心悸亢進の症状に見舞われ,さらに2022年7月の春学期末試験及び2023年1月のD日程入試の法律科目試験の監督終了間際,前者においては発声不能,後者においても発声困難に陥った(これらの件に関し,上記の「リンク」欄①,②のホームページも参照)。ほとんど発語しない試験監督の場でもこのような事態になったことから,90分マスクをしたまましゃべり詰めの状態では自身の健康面への危険に怯えざるをえないし,そもそも声が出せなければ,講義は成り立たない。そのため,教員の基礎疾患等の場合における例外措置として,岩間に関してはオンライン授業(但し,ライブ方式)の実施をお認めいただいているので,受講者においては,この点悪しからずご了承願いたい。
*2023年3月7日に本学の危機管理委員会により公表された,2023年度に関する愛知大学活動制限指針(レベル0)によれば,教育活動(授業)について「感染防止策を講じて,通常の講義,演習,実験・実習を実施する。※教育効果が認められる科目はオンライン授業を活用する」とのみ指示されているところ,授業担当教員の教室内におけるマスク着用は一,二を争う有効な感染防止策と見られることから,上記委員会により「教員に授業時のマスク着用を義務づけない」といった具体的な指示が追加で発出されない限り,本科目については今年度も上述の授業形態(オンライン・ライブ中継方式)を継続する予定である(なお,授業時における教員のマスク着用を明記する例として,上掲③常葉大学HPも参照)。

 また,2024年1月初旬に実施予定の共通到達度確認試験との時間的関係に配慮し,9月の秋学期開講前の夏休み期間中に,1~2回,前倒し補講を実施するので,この点も予めご承知おき願いたい(それに応じ,共通到達度確認試験以降の回に休講を設ける)。
 以上,2023年9月に入る頃までに,登録が予想される院生全員に電子メール等により,これらの諸点に関する具体的な補足説明を行なう予定である。



 春学期の「刑法Ⅰ」,そして秋学期に並行して開講される「刑法Ⅱ」で習得する刑法総論の知識を,各犯罪類型の解釈に際して具体化し,2年次配当の「刑法演習」で事例の処理が自由自在にできるための基礎をこの科目で養う。もっとも,刑法各論の広範な分野を15回の講義でくまなく論じるのは不可能であるが、主要犯罪に関する基本論点は可能な限りフォローできるよう配慮したい。この授業を出発点として、各自で刑法各論の学習を深めてもらうことを予め了解の上、受講されたい。  
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)と授業科目の関連  本科目は法務博士号取得のために不可欠な必修科目であり,愛知大学法科大学院ホームページ(https://www.aichi-u.ac.jp/lawschool/outline/concept)に掲記されている学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)にいう目標や手続に従って単位認定を行なうものである。